じーちゃんの孫


昨日、じーちゃんの家で飯食ってたら(少し痴呆あり)
交通事故起こしたと孫から電話があった。
俺が電話にかわるとあわてて電話切ってたよ。

「お前がここに居るのにそんな筈ないだろ」

と笑って、じーちゃんは言ってそのまま飯を続けた。
帰り際に小遣いまでもらって帰った。

じーちゃんの家に電話なんてかかってくるわけないのに。
だってじーちゃんの孫は、息子夫婦とばーちゃんともども
10
年前に交通事故で死んでるのに。










【解説】
文中にもあるように「じーちゃんの孫」は交通事故で亡くなっている。
では、この語り手(俺)は誰?

実は「俺」はじーちゃんの孫になりすました偽物である。
しかし、痴呆が入っているじーちゃんは「俺」を孫と勘違いしているのだろう。親切心で孫になってじーちゃんを励ましてるともとれるだろう。
ただ、じーちゃんは「俺」が孫でないことに気づいているような気もする。
電話はおれおれ詐欺だろうな。

 

朋也(高村先生ですか?俺です・・・朋也です。)

高村(朋也?)

朋也(実はお願いがありまして・・・。)

高村(その話は聞けん!)

高村は電話を切ってしまった。

朋也(え、どうして・・・?)