交通事故
俺はいま、会社で無視されている。原因は自分でも痛いほどわかっている。
先日、同僚の彼女とデートに行った。
会社でムードメーカー的な彼女は誰からも好かれている。
でも、そのデートの帰り道に彼女は事故で死んだんだ。
電柱にめり込んだ助手席はぐちゃぐちゃに大破し、かわいい彼女も同じ様にぐちゃぐちゃに・・・。
俺だけが助かり、すぐに職場に復帰したが彼女を奪った恨みのせいか、
哀れみのせいか俺に話しかける人などいない。
彼女に花を手向けようと事故現場に足を運び、そっと手を合わせる。
そのとき、聞き覚えのある声が聞こえた。
「ずっと一緒でしょ?」
【解説】 → 「俺」も「彼女」と一緒に死んだのだ。
皆が無視するのは「俺」の姿が見えていないためだ。
(朋也君、ずっと一緒ですよね・・・。)
(まって~!俺たちは生きてるぞ!な、春原!)
(杏と智代にやられて僕も死んでるのかも・・・。)
(風子だって生きてますよ!)